私は地震専門家でも学者でもないですが、ひとりの日本人として、生きている間に起きるかもしれない大災害に向けて、少しでも知識をつけて正しく恐れようという思いから、この記事を執筆しています。
不安を煽りたいわけではなく、ただ事実を伝え、未来への備えのきっかけ作りになれば幸いです。
前回の記事では、南海トラフ地震と首都直下型地震について紹介しました。
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富士山と日本の火山
富士山は日本を象徴する山であり、その美しい姿は国内外の人々を魅了しています。
標高3,776メートルの富士山は日本一高い山であり、四季折々の表情を見せるその姿は、多くの芸術や文学作品にも描かれてきました。また、富士山は世界文化遺産にも登録されており、日本の自然と文化を語る上で欠かせない存在です。
しかし、この壮大な山は、単なる美しい景観のシンボルだけではありません。富士山は活火山でもあり、過去に何度も噴火を繰り返してきた歴史があります。
日本には現在110以上の活火山があり、そのうち富士山は代表的な存在です。これらの火山は、地震と並んで私たちの生活に影響を与える可能性があります。
近年、特に南海トラフ地震との関連性が指摘される中、富士山が再び噴火する可能性が議論されています。もし噴火が起これば、私たちの生活に甚大な影響を与えることは避けられません。
富士山と南海トラフ地震の関係
南海トラフ地震は、プレート境界の歪みが解放されることで発生します。この巨大なエネルギーの解放が、富士山の地下にあるマグマ溜まりに影響を与え、噴火を引き起こす可能性があります。
過去の例
- 1707年 宝永地震
- 南海トラフ地震が発生し、その約49日後に富士山が噴火しました。
- 噴火では大量の火山灰が東日本一帯に降り注ぎ、農作物が壊滅的な被害を受けました。
富士山噴火のメカニズムと噴火場所
富士山の噴火は、地下のマグマが地表に押し上げられることで起こります。特に南海トラフ地震などの外部要因が、マグマに圧力を与えることが引き金になることがあります。
噴火する場所
- 山頂火口: 噴火といえば山頂というイメージが強いのではないでしょうか。
- 側火山: 意外にも山の側面からも噴火する場合があり、溶岩流が広範囲に流れることがあります。
火山性地震と前兆
富士山では、噴火の前に火山性地震(マグマの動きによって起こる地震)が増えることが知られています。現在も、地震計やGPSで地下のマグマの動きを監視しています。
そのため、地震よりも噴火の前兆のほうが捉えやすく、事前情報は比較的入ってきやすいでしょう。
富士山噴火の歴史
富士山は何度も噴火を繰り返してきました。その歴史を以下に示します。
年代 | 噴火名 | 噴火規模 | 噴火場所 | 主な被害 |
約8700年前 | 小御岳噴火 | VEI 5 | 山頂火口 | 大量の溶岩流、周辺環境の激変。 |
約2300年前 | 古御岳噴火 | VEI 4 | 山頂火口 | 降灰による農業被害。 |
864年 | 貞観噴火 | VEI 5 | 側火山(大室山周辺) | 広範囲に溶岩流、郡内の村々が壊滅。 |
1707年 | 宝永噴火 | VEI 5 | 側火山(宝永山) | 江戸にも火山灰が降り、大規模な農業被害。 |
VEI(Volcanic Explosivity Index)とは?
- 噴火の規模を示す指標で、数字が大きいほど噴火の威力が強いことを表します。
富士山噴火の影響と怖さ
富士山が噴火すると、以下のような深刻な影響が懸念されます。
溶岩流
溶岩流はゆっくり流れるため、人的被害は少ないとされていますが、予測では溶岩流がおよそ50kmも離れた富士山から北東に位置する山梨県上野原市まで流れる可能性があり、周辺市町村に到達することが懸念されています。建物やインフラが破壊されるため、復旧には数年を要する場合があります。
火砕流
火砕流は高温のガスや火山灰の混合物が時速80km以上という驚異的な速さで流れ下るため、避難がほぼ不可能とされています。特に富士山周辺の山麓地域では、火砕流が一瞬で到達し、壊滅的な被害をもたらす恐れがあります。
火砕流が到達する範囲は10kmほどと言われておりますが、火口から市街地は20kmほど離れていますので、噴火のときに山中にいなければ被害が及ぶことはありません。
噴石
火口から2km~4kmほどには大きな噴石が降ってくる可能性がありますが、火砕流と同じく噴火のときに山中にいなければ被害が及ぶことはありません。
火山灰
火山灰は最も広範囲に影響を及ぼす要素です。
降雨時には0.3cm積もっただけで、停電が発生する可能性があります。
鉄道の場合、0.05cm程度でも運行停止します。
火山灰が関東平野に広範囲で降った場合、電力供給や交通網が完全に遮断される恐れがあり、都市機能が長期間麻痺する可能性があります。
風向きの影響
噴火時の風向きによって、火山灰の降灰範囲が変わります。過去の宝永噴火では、火山灰が関東地方にまで到達し、江戸(現在の東京)も影響を受けました。
現代に富士山が噴火した場合
もし富士山が現代に噴火した場合、どのような影響があるのでしょうか?
最悪のシナリオ
- 交通インフラの停止
- 東名高速道路や新幹線が利用不可になり、首都圏の物流が麻痺。
- 首都機能の停止
- 東京や周辺都市に火山灰が降り、オフィスや金融機関が機能停止。
- 経済損失
- 内閣府の試算では、約2.5兆円の経済損失が見込まれています。
- 大規模噴火の場合は100兆円以上の被害になる予測もあります。
- 避難生活の長期化
- 被災地域の住民が長期間避難を余儀なくされる可能性。
火山灰と経済への影響
火山灰は直接的な被害だけでなく、経済全体に深刻な影響を与えます。
被害の具体例
- 航空業界: 火山灰が飛行機のエンジンを損傷し、空港が閉鎖されます。
- 物流: 降灰で道路が使用不能になり、商品の輸送が滞ります。
- 農業: 火山灰が農地を覆い、作物が枯死。
- 建築物: 灰が屋根に積もり、建物が崩壊する可能性。
風評被害
富士山周辺の観光業が長期的に低迷する恐れがあります。
まとめ
南海トラフ地震と富士山噴火は、いずれも日本にとって大きな脅威です。最新の観測技術により、ある程度の予測が可能になっていますが、具体的な発生時期を特定するのは難しい状況です。
私たちにできることは、日頃からの防災意識を高め、以下のような準備を進めることです。
- マスクやゴーグルの準備: 火山灰対策に必須。
- 避難経路の確認: 火砕流や溶岩流のリスクを考慮した避難計画を。
- 家庭での備蓄: 食料や水を十分に確保。
「備えあれば憂いなし」という言葉の通り、私たち一人ひとりができることを考え、実践していきましょう。
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